東京で編集者としてスタートを切ったのが美少女グラビア作りだった
「これからは“強気で生きる女”が勝つ」
こう表紙一面に宣言している雑誌「Age [アージュ]」が2009年6月にマガジンハウスより出版された。今までにはなかったアラフォー世代の働く女性向け雑誌。著名人も多く登場する豪華な企画が目を引く。不定期発行で雑誌としてはまだ1冊のみの発行だが、大きな反響を呼んだ。そんな新雑誌の企画立案を進め、編集長としてAge(アージュ)の広告塔となっているのが今回の憧れウーマン、池田美樹さんだ。
10年以上のキャリアを持つ編集者は大勢いるだろうが、彼女のようなユニークなプロフィールを持つ女性編集者はそういないだろう。池田さんは熊本大学に在学中、地元のタウン情報誌で編集者としてのキャリアをスタート、そのまま同社へ就職。在職中には雑誌制作に加え、九州のバイクライダー3000人を阿蘇に集めるイベントを2年連続で開き、司会も務めた。しかし、常々「olive」「an・an」などの雑誌を愛読していたことから、やはり東京で雑誌編集に携わりたいと、3年の経験を経て上京を決意した。
まず東京での編集者としてのスタートは美少女グラビアと読者投稿の雑誌だった。男性ばかりの中で男性誌を制作し、女性の裸を撮影するなど、今までにない経験ばかりを3年にわたり培ったという。
その後、長年待ちこがれていたマガジンハウスの経験者採用が行われることになり、受験、見事合格したのだ。
「東京に来て3年目にしてやっとマガジンハウスの経験者採用があったのです。来るべくして来たチャンスだと思いました。試験会場には1600名くらいの受験者がいましたが、自分ほどおもしろい経験をしてきた人はいない。マガジンハウスならこんな得がたい経験をしてきた自分を放ってはおかないと半ば確信していましたね。男性誌の制作をやっている時は『こんなことをしていてよいのだろうか・・・』とキャリアへの焦りを感じた時期も正直ありましたが、振り返れば1つ1つやってきたことに無駄はなかったと、今では思いますね」
雑誌から発信する情報で読者が1つでも新しい経験をして欲しい
念願だったマガジンハウスへの入社。そこから池田さんの女性誌編集者としての新たなキャリアがスタートした。初めて配属されたのは愛読していた「olive」。女性雑誌の制作経験もなく、見ると作るとの違いを切に思い知らされ、涙したことも多かったという。持ち前の明るさと憧れだった出版社で雑誌を作りたいという強い気持ちで、つらい時期も乗り切った。3年後に異動、今度は「Hanako」編集部に7年半にわたり在籍。
「その頃のHanakoは、グルメ情報の比重が高い雑誌でした。『今夜はどこに食べに行こう』とOLさんがHanakoを見て探している。自分が発信している情報をきっかけに読者が新しい経験をしてくれるという実感を味わえたので、すごくやりがいがありました」
その後「croissant」、「an・an」と異動。「an・an」は“国内でもっとも有名な女性誌”であり、マガジンハウスの看板雑誌。そこでの経験を積むうち、これまでの経験を活かして新しい分野の雑誌を作りたいという思いが強くなったという。
「『an・an』にいた1年の間に『Age』の企画を進めていました。そもそもこの雑誌を作りたいと思ったきっかけが、いわいるアラフォー世代の「働く女性」が読む雑誌がないと思ったから。その年代の女性が読むとしたら、ビジネス雑誌からつまみぐいするか、日経新聞を読むか・・・だから彼女たちが求めている情報を、ファッションも含めコンパクトに1冊にまとめたものがあればと思ったのです」
編集長として、働くいち女性として池田さんのメッセージが込められている「Age」
企画から1年をかけて、2009年6月29日に発行となった「Age[アージュ]」。第1号は「ファッション」「ビューティ」「ビジネス」「トラベル」「グルメ」と広範囲にわたる企画がまんべんなく盛り込まれている。特に好評だったのが、ロサンジェルスで取材を行った「LAで成功する女たち。」という、やりがいのある仕事を持ち、稼いでいる、LAの女性の生活ぶりを紹介するという企画。また、“食”を戦略的に使って、人間関係を深めるチャンスを図ろうという「上司を誘って一目おかせる『すごい店』。」も人気を得た。通常のレストラン検索ではなかなかめぐり合えない大人の女性が好むお店がセレクトされ、もてなしの達人と精神科医が「もてなしの心得」を分析、効果的な戦術をアドバイスしてくれるという企画だ。
iPhone/iPod touchやPC
で読める「Age」のデジタル版も発行するなど、紙媒体だけにこだわらない新しい雑誌のありかたも探求している。
「自分自身のやり方でエナジーを高め、強気で生きていこう」とメッセージを放つ「Age」。それは編集長として、また働くいち女性として、池田さんが世の中の女性へ発信したいメッセージだ。
そんな仕事も女性としての生き方も輝いている池田さんに興味深い質問をしてみた。
「池田さんにとって仕事とは何ですか?」
「そうですね、私にとっては『仕事イコール生きること』です」
『生きること』というのは、『生活の糧』という意味と、『仕事を通しての様々な経験から成長できたり、喜びが生まれたりと自分自身の身になっていく』という意味が込められているという。
数々の雑誌編集者として長年のキャリアを積み、編集長として新しい雑誌を切り盛りしている女性と聞くと、強気な男勝りの性格を想像する人もいるかもしれない。しかし池田さんは全く違う。穏やかな口ぶりで、同じ目線に立って話をしてくれる。第一線で活躍する、強くてしなやかな女性らしさを持った大人という印象。これから「Age」を通して池田さんがどのような「働く大人の女性像」を発してくれるか楽しみだ。