やっぱり気になる転職した後のお金事情
転職するなら「お給料を上げたい」のは本音。
でも、目先の年収アップにばかり気を取られていると、思わぬ落とし穴にハマることも。
「前職にいたほうが年収が高かった」なんてことにならないために、長期的な視点で年収の上げ方を考えてみよう。

年収を上げるには長期的な視点が必要

給与アップを念頭に置いた転職活動は、目標設定がはっきりできて分かりやすいように思える。しかし、転職時に年収アップに成功したとしても、継続的に上がり続けるとは限らない。実質的な収入増に本当につながるのだろうか?企業の人事戦略の専門家である三菱UFJリサーチ&コンサルティングの吉田寿さんはこう語る。
「入社後、給与があまり上がらないということは考えられます。給与とは本来、専門性や実績に対して与えられるもの。入社後に会社が求める働きができなかった場合、給与ダウンという可能性もゼロではありませんよ」
結果的に、前職で働いていた方が年収が高かったなんてことも大いにあり得る話。そこで、実際に転職し、5年が経過した2人の女性の転職後の年収と、仮に前職で働き続けていた場合の年収を比較してみたのが下のグラフだ。一見2人とも年収アップ転職に成功しているように思えるが、5年経 過した時点に注目すると、結局Bさんは前職で働き続けた場合の年収の方が高くなっていた。たとえ高い給与の企業に転職しても、前職より給与が高い状態が継続するとは限らないことがここからイメージできるだろう
事前の情報収集と仕事の取り組み方が大事
では、このような事態を防ぐ方法はあるのだろうか?長期的な視点で見た場合、転職先の給与の上がり方だけでも把握しておきたいところ。
「職種や働き方によって年収は変わってくるもの。転職して数年後の年収を、前職で働いていた場合とで比較するのは、正直難しいですね。でも、業界や職種によって、年収の相場は大体分かります。また、入社何年目は○○万円などと、標準の賃金モデルを公表している企業も。求人広告や口コミ、面接など、事前に情報収集をしっか りすることが大事です」
そもそも、「給与が上がるということは、業務の質やレベルも上がるということ」と吉田さん。
「何も努力せず、給与が上がるということはほぼありません。しっかり課せられた目標をクリアしキャリアを積んでこそ、給与に反映されていくもの。目先の報酬だけを基準にせず、将来のビジョンを見定め、一生懸命取り組める仕事を見つけることが一番です」

転職5年目女子の「前職 現職」リアル年収調査

Aさん(30歳)
「人の役に立ちたい」という志向が強いAさん。事務経験が長く、事務処理の仕方や備品管理など、何か改善点があればすぐに上司に報告。今では事務スタッフをまとめるリーダーとして活躍している



●現職の会社の特徴
昇給のタイミングが年に4回と多く、評価も平等。バックオフィスのスタッフでも、もちろん昇給のチャンスがあり、部署内ではあるがリーダーなど責任あるポジションも任せてもらえる環境。年に1度、頑張った社員への表彰が行われ、Aさんも受賞歴あり
●前職の会社の特徴
一般事務職はアシスタント的な位置付けのため、目に見える昇進・昇格の道はない。しかし、しっかり仕事をこなしてさえいれば、社歴が上がるにつれて、少しずつ年収が上がっていく仕組みになっている。安定はしているが、評価が給与に反映されない
評価体制の違いで年収アップ!
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Bさん(32歳)
残業代支給も含めて年収アップしたBさん。営業事務として5名の営業をサポートしている。仕事内容はとくに変わりはないが営業からの「ありがとう」という言葉がうれしくて続けている



●現職の会社の特徴
職種柄、基本給はずっと同じだが、制度面が充実しており、残業代も100%支給される。そのため、残業がある時期とない時期で給与の差が出てしまうことがネック。Bさんは入社3年目から経費削減のため、残業に制限がかかり年収がダウンしてしまった
●前職の会社の特徴
アシスタントでも、頑張りが認められればチーフやリーダーに昇進できるチャンスがある。その場合、年収もグッとアップするため、Bさんの現職よりも年収がアップする可能性が高い。しかし、忙しい割に残業代が出ないため、制度面では現職のほうが◎
昇進の有無と残業代が決め手に
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1. 求人情報から探れる情報は3つ
● 給与額(月額もしくは年収額)
● 年齢や肩書き別の年収モデル
● インセンティブや賞与の有無
求人情報を見るときは、上記3点を必ず確認することが重要。とくに、年収モデルはインセンティブや残業代が支給された場合など、基本給+αが含まれていることもあるので要注意!
2. 面接では5年目社員の話から切り出す
「参考までにお伺いしたいのですが、同じ職種で中途入社し、
現在5年目くらいの方はいますか?」
面接ではまず、中途で入社した5年目社員の仕事内容、ポジション、働き方などをチェックし、自分の将来のキャリアプランと重ね合わせて考えてみるといい。フランクな雰囲気だったら具体的な年収額を聞いてみるのもいいだろう
3. 業界・職種の相場を調査して比較
求人情報に具体的な年収が掲載していないことも多い。会社によって年収額は異なるが、業界や職種の相場は調べれば分かるもの。インターネットや書籍など、職種図鑑のようなものは多々あるので、把握しておこう
4. 非金銭的報酬を考える
【チェック項目】
● 社員食堂は?
● 残業代の支給は?
● 福利厚生は?
● 研修制度は?
非金銭的報酬とは、給与以外の報酬として考えられるもの。例えば、充実した研修制度や無料で使える社員食堂、福利厚生にまつわる手当などが挙げられる。それらがどの程度充実しているか調べて書き出してみよう
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吉田 寿さん
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 組織人事戦略部 プリンシパル
Profile
早稲田大学大学院経済学研究科修士課程終了。富士通人事部門を経て、1990年に三和総合研究所(現・三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社
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